動作スクリーニングによる
効果的な小集団機能訓練

最終回
「なぜ個別機能訓練加算I・Ⅱ
算定する必要があるのか」
個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱの必要性
 これからの介護には次のような変化があると考えられます。
・さらなる自立支援が求められる
・結果を出すことが評価される
・介護する人材不足が深刻化
・要介護者の人数が爆発的に増える
 今後の通所介護では、「結果を出す」そして「少ない報酬で運営する」という矛盾したことが求められており、これらに応えることが、今後も生き残っていくための道になります。
 さまざまな条件のもと、弊社で行っているシミュレーターにて粗利益を増やす運営について調査した結果、スタッフ1人が、 ご利用者2~3名を担当することが必要であることが分かりました。

 少ない報酬で運営し、少ない人数で結果を出す方法を考える上で、今後の介護について国がどのように考えているのかを知ることが重要となります。 安倍総理は未来投資会議で今後の介護について、次のように話しています。
①介護が要らない状態までできる限り回復を目指す。
②高齢者が自分でできるようになることを助ける自立支援に軸足を置く。
 これらは、それぞれ個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱの目的に当てはまります。 今後の介護で生き残っていくためには、国が考えている介護を実現していくこと、つまり、個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱを算定していくことが必要不可欠です。
個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱについて
【個別機能訓練加算算定のポイント】
個別機能訓練計画は、多職種と相談し、誰が作成しても良い
個別機能訓練加算
身体機能訓練を集団で行い、
誰が訓練を行ってもよい
個別機能訓練加算
生活機能向上訓練を5人程度以下の小集団で行い、機能訓練指導員が直接訓練を行う
個別機能訓練加算 個別機能訓練加算
単価 46単位 56単位
目的 身体機能改善 生活機能向上
人員配置 「常勤・専従」の
機能訓練指導員
「専従」の機能訓練指導員
機能訓練計画作成者 多職種と相談し、
誰が作成しても良い
多職種と相談し、
誰が作成しても良い
訓練実施者 誰が実施しても良い 機能訓練指導員が直接実施する
機能訓練 座位・立位・歩行など 料理・手紙を書く
・写真を撮るなど
訓練方法 集団訓練(人数制限なし) 小集団トレーニング
(5人程度以下)

結果を出す機能訓練にするために

 上記の算定要件を理解した上で、結果を出す機能訓練にするためには、すべてのスタッフが共通した認識を持ち、 ご利用者の「アセスメント」を行うことが大切です。そのためには、すべてのスタッフに高い技術が必要になります。
【個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱを算定するまでの流れ】
計画書作成から機能訓練までの流れを確認しましょう。

●個別機能訓練加算

①身体機能改善のためのアセスメントを全スタッフ共通評価のもとで行えているか?
②ご利用者の適切な長期目標、短期目標を設定することができているか?
③身体機能をアセスメントした結果から適切な訓練集団に属しているかを確認する
①身体機能改善のためのアセスメントを全スタッフ共通評価のもとで行えているか?
 個別機能訓練加算のアセスメントシートでスクリーニングを行い、動作のどの段階に課題があるのかを把握しましょう。
②ご利用者の適切な長期目標、短期目標を設定することができているか?
 目標はケアプランに沿って、ご利用者やご家族、ケアマネジャーと相談して決定します。アセスメント時に行ったスクリーニングで確認したご利用者の現状を伝えます。
③身体機能をアセスメントした結果から適切な訓練集団に属しているかを確認する
 個別機能訓練加算は集団訓練が可能であり、職種も問われないため、スクリーニングで集団グループ分けを行います。 グループ分けの際には、下表の①~④を参考にしながらグループ分けをしましょう。
(①~④のチェック項目の詳細は、第2回~第5回を参考にしてください)

例)
・Aグループ…座ることを目標としたグループ
・Bグループ…立ち上がることを目標としたグループ
・Cグループ…歩くことを目標としたグループ    など

●個別機能訓練加算

①生活機能向上(社会参加・役割の創出)のためのアセスメントを全スタッフ共通評価のもと行えているか?
②ご利用者の適切な短期目標、長期目標を設定することができているか?
③生活機能向上(社会参加・役割の創出)についてアセスメントした結果から目的に沿った訓練を行うことができているか?
①生活機能向上(社会参加・役割の創出)のためのアセスメントを全スタッフ共通評価のもと行えているか?
 ご利用者のアセスメントを行う際に一番大切なことは、「目標」を聞くことはもちろんですが、何のためにしたいのかという「目的(理由)」を聞くことが重要です。 この「なぜしたいのか」を明確化することで、互いにしっかりとした自立支援を行うことができます。
②ご利用者の適切な短期目標、長期目標を設定することができているか?
 目標はケアプランに沿って、ご利用者やご家族、ケアマネジャーと相談して決めます。 アセスメント時に聞き取った「目的」を大事にし、現在取り組むことができる日常生活行為(社会参加・役割の創出)をご利用者と相談して決めます。
③生活機能向上(社会参加・役割の創出)についてアセスメントした結果から目的に沿った訓練を行うことができているか?
 個別機能訓練加算の短期目標で設定された内容を達成するための手順を確認し、それを1つずつ行うことを個別機能訓練加算の内容とします。 この訓練内容が同じであれば5人程度以下の小集団で、訓練を行います。


 以上、個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱを算定するまでのそれぞれの流れを確認しました。 こういった流れを意識して、個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱを算定しながら、今後の介護業界を生き抜いていきましょう。そのために、本連載でご紹介した「動作スクリーニング」がお役に立てば幸いです。

 今回で「動作スクリーニングによる効果的な小集団機能訓練」の連載は終了となります。大里先生、長期にわたり、ご執筆いただきありがとうございました。

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著者紹介
株式会社ケアスマイル青森 代表取締役
大里洋志
● JOC医科学強化スタッフ
● 水球日本代表トレーナー
● 青森県スポーツドクター公認トレーナー
● 日本体育協会アスレティックトレーナー
● 青森県水泳連盟トレーナー
● 柔道整復師
● ケアマネジャー