動作スクリーニングによる
効果的な小集団機能訓練

第6回
「スクリーニングからプログラムを作成する原理原則」
テストとスクリーニングの違い

①テスト

 従来から多く行われている評価方法です。 例えばTUG(イスから立ち上がって3m先のコーンを回りイスに座る時間を測るテスト)、CS-30(30秒間でイスから立ち上がれる回数を数えるテスト)です。
 TUGとCS-30の共通点は、秒数や回数を記録しそれを基準に身体機能が向上したなどの評価を行い、ご利用者へフィードバックしていることです。

つまり、テストとは
となります。

質問コーナー

ここでみなさんに質問をします。
TUG、CS-30のテストをした後に、以下の業務ができていますか?

 ・ご利用者へどのような機能訓練を行えば身体機能が向上するかの説明
 ・そのご利用者に合った機能訓練プログラムの作成

②スクリーニング

 テストのほかにも、評価方法にはスクリーニングというものがあります。
このスクリーニングは「できた結果を記載するのではなく、できなかった結果をチェックしふるいにかけて選び出す」というものです。

つまり、スクリーニングとは
となります。
スクリーニングの評価方法
 スクリーニングをするためには、基準(対象とする動作ができる/できない)となるチェック項目の設定が大切です。 このチェック項目の基準が、そのままご利用者に獲得していただきたい動作につながります。チェック項目は難易度を分け、スコアをつけることで点数化します。

①当社のスクリーニング

 当社は以下の4つのスクリーニングをさまざまなチェック項目をつけて行っています。 そのチェック項目は前述の通り、難易度を分けて、スコア(1点、2点、3点)をつけることで評価を行います。
 また、これらのスクリーニングのすべてが1点だった場合は、下記の順番で機能訓練プログラムを作成します。 その理由として、獲得してほしいチェック項目(スコア1点)の基準を発育・発達の順に従って組み込んでいるからです。

スクリーニング別改善プログラムの順番

A-SLR(下肢可動域)※第2回にて紹介

肩屈曲スクリーニング(肩関節可動域)※第3回にて紹介

イスからの立ち上がり※第4回にて紹介

開眼片脚立ち※第5回にて紹介

点数別改善プログラムの順番

スコア1点 改善の必要あり

スコア2点 改善の余地あり

スコア3点 維持

②スクリーニングが優れている点

 4つのスクリーニングを行うことで、テストでは評価できなかった問題点を知ることができ、その点を含めた訓練メニューの提案や機能訓練プログラムの作成を行うことができます。 そして、チェック項目を使うことにより個人のスキルに依存するのではなく、誰もが均一な評価を行うことが可能となります。
例1)
要介護4、車イスからのトランスファーもできない。
ほぼ1日をベッドで過ごされている方の評価(スクリーニング)
 A-SLR(下肢可動域)・・・1点
 肩屈曲スクリーニング(肩関節可動域)・・・1点
 イスからの立ち上がり・・・1点
 開眼片脚立ち・・・1点

具体例(実践例)

 
この場合スクリーニング別改善プログラムの順番に従って、優先順位は、 A-SLR→肩屈曲スクリーニング →イスからの立ち上がり→片脚立ちとなります。

集団エクササイズグループ分けでは、以下のエクササイズとなります。
1.腹圧エクササイズ
(レッドコード)

2.股関節屈曲エクササイズ
(レッドコード)

3.座位保持エクササイズ
 

例2)
要介護1、片麻痺で不安定感はあるが杖歩行可能で、日常生活は自立している方の評価(スクリーニング)
 A-SLR(下肢可動域)・・・1点(麻痺側1点/健側3点)
 肩屈曲スクリーニング・・・2点(麻痺側2点/健側3点)
 イスからの立ち上がり・・・3点
 開眼片脚立ち・・・1点(麻痺側1点/健側3点)
この場合の優先順位はA-SLR→ 片脚立ち→ 肩屈曲スクリーニング→ イスからの立ち上がりとなります。

集団エクササイズグループ分けでは、下記のエクササイズとなります。
※左麻痺を想定したエクササイズです。
1.股関節(下肢)屈曲エクササイズ
(立位でレッドコードなどを使う)

※麻痺側の股関節を屈曲することで左の腹圧を上げる
 
2.片脚立ちエクササイズ
(レッドコードや平行棒など補助具を使う)

※腹圧を上げる感覚を掴み、次に負荷をかけ、麻痺側で支えるエクササイズを行う
3.肩挙上エクササイズ
(レッドコードやバランスボールを使って関節可動域訓練)

4.イスからの立ち上がりエクササイズ
(補助具を使い麻痺足へ体重をかけて立ち上がり)
 


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これまでの連載
著者紹介
株式会社ケアスマイル青森 代表取締役
大里洋志
● JOC医科学強化スタッフ
● 水球日本代表トレーナー
● 青森県スポーツドクター公認トレーナー
● 日本体育協会アスレティックトレーナー
● 青森県水泳連盟トレーナー
● 柔道整復師
● ケアマネジャー