ご利用者の生活環境を把握するための
居宅訪問時のチェックポイント!
居宅訪問の機会を有効に使うために確認すべきポイントを、ご利用者の症状別・疾患別に理学療法士の視点でご紹介しています。

第9回 人工股関節置換術後の生活リハビリ
今回は、人工股関節置換術の方が安全に在宅生活を過ごすためのポイントを紹介します。
人工股関節置換術後の生活では脱臼に注意して、股関節を強く曲げないように、 ご自宅の環境を確認します。ご自宅でお風呂に入る方には、デイで自宅環境に合わせた練習をしていきましょう。その際、必要なら福祉用具なども紹介していきます。

【人工股関節置換術後の注意点】
低いイスに座ることや、かがみこむ動作は脱臼の危険があるので、そういった動作をしないように ご家族に見守りをお願いします。危ないときは声を掛けて中止してもらいましょう。

チェック①!
股関節が強く曲がるような環境になっていないか?
(例1)お風呂のイスの確認
お風呂のイスの高さは、40cmぐらいの高さが安全です。左側の写真のようなイスを使っている場合は、ケアマネジャーに相談してもらい、福祉用具として1割負担でシャワーチェアの購入を検討しましょう。
イスが低いため、股関節が深く曲がる脱臼肢位になってしまう
シャワーチェアにすることで、股関節の曲がる角度が浅くなる

(例2)浴槽に入るとき
浴槽をまたぐ際に、股関節を強く曲げると脱臼する恐れがあります。介助者(ご家族など)が背中を支え、できるだけ体幹を後ろに傾けて足を上げると、股関節の曲がりが浅くなります。
浴槽をまたぐとき、股関節が強く曲がってしまう
背中を後方に倒して介助することで、股関節の曲がりを浅くすることができる。 介助者、ご家族などがしっかり支えることが大切

(例3)靴下をはくとき
人工股関節置換術後は、靴下をはくときにも脱臼する恐れがあります。
デイの入浴時に、ソックスエイドという福祉用具を使用してもらい、使い勝手が良いようなら購入を検討してもらいましょう。


(ご家族への声かけ例)
「人工股関節置換術後は靴下をはくためにかがむと脱臼することがあります。ソックスエイドという福祉用具をデイで練習してうまく使えたので、お貸しします。 使い勝手が良いようならケアマネジャーに相談して購入を検討してください」

チェック②!
肥満ではないか? 体重が増えていないか?
前回、人工膝関節置換術後の生活でも紹介しましたが、下肢の関節は体重の影響を大きく受けます。肥満気味の方は、運動や食事で体重を減らす生活アドバイスをしましょう。
グラフなどを使用して、視覚的に見やすく体重変化を記載しましょう。


(ご家族への声かけ例)
「体重が少し増えてきましたので、関節に負担がかかる恐れがあります。食事などに気をつけていただき、体重管理をご自宅でもお願いいたします」

リハビリについて
「人工股関節置換術後の生活リハビリ」については、月刊デイ2016年12月号「現場スタッフに役立つ 症状別・疾患別リハビリ」をご覧ください!





その他の記事

どうして居宅訪問が必要なの?
個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱやリハビリテーションマネージメント加算Ⅰ・Ⅱを算定するためにはご利用者の居宅を訪問し、在宅状況を確認することが義務付けられています。
居宅訪問はとても重要なことです。利用者の生活環境を知り、それに即したメニューを実施することで、機能訓練の効果は格段に上がります。

松本健史(まつもとたけふみ)
理学療法士/介護支援専門員/社会福祉学修士
NPO法人丹後福祉応援団勤務
大阪生まれ・関西大学法学部卒・九州リハビリテーション大学校卒業。
2014年本の出版、研修事業の「松本リハビリ研究所」設立。
著書に「認知症介護『その関わり方間違いです!』」(関西看護出版)「拘縮対応ケアハンドブック」(ナツメ社)「間違いだらけの生活機能訓練改善授業」(日総研)等がある。
介護従事者向けの「生活リハビリの達人」養成研修が話題。
●ホームページ
松本リハビリ研究所
●研修・原稿の依頼・問合せ
matumoto@helen.ocn.ne.jp