ご利用者の生活環境を把握するための
居宅訪問時のチェックポイント!
居宅訪問の機会を有効に使うために確認すべきポイントを、ご利用者の症状別・疾患別に理学療法士の視点でご紹介しています。

第7回 座位が安定しない方への対応
本誌の連載では、イスに座ると体が傾いてしまう人・仙骨座りになる人の生活動作のリハビリメニューを紹介しました。 デイサービスの良いところは、在宅生活とリンクできるところです。デイで生活動作を行い、「これは家でもできそうだ」ということを本人・家族にアドバイスしていきましょう。 利用者の「できる」がグッと増えていきますよ。

まずは端座位でいる時間を増やす
連載で紹介したように、端座位(たんざい)(ベッドの端に座る姿勢)の時間を増やすと座位姿勢が安定する人は多いのですが、在宅での実施はなかなか難しいのです。 特に、ベッドでギャッジアップして過ごしている人には、デイサービスで端座位を練習し、安定してきたらご自宅での端座位の時間を少しでも増やせるようにアドバイスしていきます。 また、必要であればベッドの高さを調整したり、移乗バーや滑り止めマットなどの活用を勧めます。
【声かけ例】「ベッドから起き上がり、足を下ろして座る時間を大切にしましょう。デイサービスでも練習してきたように、おうちでも始めてみてください」




在宅環境のポイント
●ベッドの高さ :ベッドの高さは足の裏がしっかり着く40cm程度(体格に合わせて調節します)
●移乗バー :移乗バーは介護保険レンタルが可能
●滑り止めマット:床には滑り止めマット(100円ショップで入手可能。布ガムテープで固定)
【声かけ例】(長時間、車イスで過ごしていらっしゃる方に対して)
「車イスはシートがたわんで体が傾くので、イスに移動する方が良いですよ。 移動するのが難しければ、座る姿勢が安定する車イスがあるので試してみてください」
「デイサービスで使ったところ、この車イスなら姿勢が安定しました。介護保険でレンタルできるので試してみてください。ご利用中にこちらで調整できますよ」


個々のご利用者に合わせられるように、
デイサービスでは数種類の車イスを用意しておくのも大切な役目です。
下写真のように、ご自宅の車イスを調整できるデイサービスが理想的です。



ご自宅で姿勢が崩れた場合

ご自宅でも、イスに座っていると姿勢が崩れてしまう人には、まず本誌の連載でも紹介した「座り直し体操」をデイサービスで行い、 安定してきたら、ご家族にもご自宅でできる方法としてお伝えしていきます。

●座り直し体操 ~イチ・ニ・サンで座り直す~

ご自宅で仙骨座りで過ごしている方の場合は、家族に介助の練習方法(座り直し体操)をお伝えします。

【声かけ例】(ご家族に対して)

「この体操は、背もたれから体を起こして、お尻を引く練習です。○○さんはデイサービスで練習して上手になられましたので、 ご自宅でも姿勢が崩れてきた時に随時(ずいじ)行ってみてください。慣れてきたら手伝う量を減らし、ご本人が自分でできる範囲を増やしていきましょう」

【座り直し体操】
ご家族は仙骨座りになっているご本人の後方に立ちます




1.まずご本人にアームレストへ手を置いてもらい、後方から支えて上体を起こします




2.お尻を上げて、後方に座り直す

〈お尻が上がらない場合〉
ご家族がご本人のお尻を手で支え、持ち上げる介助を行います




3.座り直し完了

リハビリについて
「座位が安定しない方への対応」については、月刊デイ2016年10月号「現場スタッフに役立つ 症状別・疾患別リハビリ」をご覧ください!





その他の記事

どうして居宅訪問が必要なの?
個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱやリハビリテーションマネージメント加算Ⅰ・Ⅱを算定するためにはご利用者の居宅を訪問し、在宅状況を確認することが義務付けられています。
居宅訪問はとても重要なことです。利用者の生活環境を知り、それに即したメニューを実施することで、機能訓練の効果は格段に上がります。

松本健史(まつもとたけふみ)
理学療法士/介護支援専門員/社会福祉学修士
NPO法人丹後福祉応援団勤務
大阪生まれ・関西大学法学部卒・九州リハビリテーション大学校卒業。
2014年本の出版、研修事業の「松本リハビリ研究所」設立。
著書に「認知症介護『その関わり方間違いです!』」(関西看護出版)「拘縮対応ケアハンドブック」(ナツメ社)「間違いだらけの生活機能訓練改善授業」(日総研)等がある。
介護従事者向けの「生活リハビリの達人」養成研修が話題。
●ホームページ
松本リハビリ研究所
●研修・原稿の依頼・問合せ
matumoto@helen.ocn.ne.jp