ご利用者の生活環境を把握するための
居宅訪問時のチェックポイント!
居宅訪問の機会を有効に使うために確認すべきポイントを、ご利用者の症状別・疾患別に理学療法士の視点でご紹介しています。

第4回 イスからの立ち上がりが困難な人
【事例】Cさん(80歳女性)
筋力が低下して立ち上がりが不安定である。デイサービスでも立ち上がりに苦労し、介助を要する。
先日、家でベッドから立ち上がろうとしてバランスを崩し、転倒してしまった。

居宅訪問時のチェックポイント
立ち上がりが不安定な人の住環境整備では、以下のことを念頭に置いて行います。
①イス・ベッドの高さは合っているか?
②立ち上がりを困難にしている環境は何か?
③福祉用具の使用・住宅改修の検討
①イス・ベッドの高さは合っているか?
一般的なイスの高さは40cmのものが多いです。イスが高すぎると足が着かず、低すぎると立ち上がりに大きな力が必要です。
教科書的には腓骨頭骨頭(ひこつとうこっとう)の高さに合わせるのがよいとされていますが、筋力が低下し、 立ち上がりが困難な方にはそれより少し(1~2cm)高いぐらいがよいでしょう。

②立ち上がりを困難にしている環境は何か?
市販のベッドや簡易ベッドなどを使用していると、高さは30cm以下の場合が多いため、立ち上がりが困難になりやすいです。
このような場合、ベッドの高さをかさ上げする、高さ調節可能なベッド(要介護2より介護保険でレンタル可)に変更するなどの提案をしていきます。
※ベッドのレンタルは例外給付申請を行うことで要介護1でもレンタルが可能になる場合が
 あります。ケアマネージャーにも必要性を伝えて、必要な場合はダメもとで検討してみましょう 。
③福祉用具の使用・住宅改修の検討
立ち上がる際にベッド付属の移乗バーを持つことが多いですが、付属のものでは短くて立ち上がりには頼りない場合があります。
そういった場合は、単独で手すりをレンタルすることも可能です。
図のような手すりをつけることで、立ち上がり動作が安定する場合があります。
前方にしっかり手を伸ばし、お辞儀の姿勢ができると立ち上がりが安定しやすいでしょう。

目標へのつなげ方・声掛けのポイント
ご自宅の環境を把握し、デイサービスの環境をご自宅に合わせて立ち上がりの練習をしていきます。
下記の点に留意して練習をしましょう。
・ご自宅のイス・ベッドの高さと、デイのイスの高さを合わせる
・福祉用具などをご自宅と似た環境に整える
・立ち上がりの三条件(①前かがみ、②足を引く、③適したイスの高さ)を引き出す
※詳しくは本誌をご覧ください。

練習の際は次のような声かけをしていくと良いでしょう。
「Cさんの家のベッドと同じ環境を用意しました。
 苦手なベッドからの立ち上がり動作を練習しましょう 。」


リハビリについて
「イスからの立ち上がりが困難」そんな方にオススメの機能訓練メニューについては、月刊デイ2016年7月号「現場スタッフに役立つ 症状別・疾患別リハビリ」をご覧ください!





その他の記事

どうして居宅訪問が必要なの?
個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱやリハビリテーションマネージメント加算Ⅰ・Ⅱを算定するためにはご利用者の居宅を訪問し、在宅状況を確認することが義務付けられています。
居宅訪問はとても重要なことです。利用者の生活環境を知り、それに即したメニューを実施することで、機能訓練の効果は格段に上がります。

松本健史(まつもとたけふみ)
理学療法士/介護支援専門員/社会福祉学修士
NPO法人丹後福祉応援団勤務
大阪生まれ・関西大学法学部卒・九州リハビリテーション大学校卒業。
2014年本の出版、研修事業の「松本リハビリ研究所」設立。
著書に「認知症介護『その関わり方間違いです!』」(関西看護出版)「拘縮対応ケアハンドブック」(ナツメ社)「間違いだらけの生活機能訓練改善授業」(日総研)等がある。
介護従事者向けの「生活リハビリの達人」養成研修が話題。
●ホームページ
松本リハビリ研究所
●研修・原稿の依頼・問合せ
matumoto@helen.ocn.ne.jp