ご利用者の生活環境を把握するための
居宅訪問時のチェックポイント!
居宅訪問の機会を有効に使うために確認すべきポイントを、ご利用者の症状別・疾患別に理学療法士の視点でご紹介しています。

第3回 すり足の方の在宅環境チェックポイント
すり足の方は、ご自宅でつまずいて転倒することも多いため、転倒予防の観点から環境整備をしましょう。 またご自宅とよく似た環境をデイサービス内につくり、機能訓練のメニューを実施します。

居宅訪問時のチェックポイント
すり足の方の在宅環境をチェックするときは、まず動線を確認します。
ご利用者はご自宅でトイレに行ったり、お風呂に行ったり、洗濯を干したり、家中を移動していますね。
この移動している経路を『動線』と言います。
(※注意、『導線』ではありません!電流が流れます!)

ご利用者によく通る経路を聞いて、つまずきやすい箇所はないかを確認します。
調査する職員は、本人になったつもりで、すり足で歩いてみるといいでしょう。

動線をチェックするときは、以下の点を確認しましょう
①敷居や段差など
②床材の変わるところ
③デイサービスで再現できそうな環境
①敷居や段差など
段差の高さを測り、段差解消のスロープの設置や手すりの取り付けを検討します。
コストのかかる改修をしなくても、目印のテープを貼るなども有効な転倒予防になることがあります。
②床材の変わるところ
摩擦具合が変わるため、滑ることがあります(材質が、畳やカーペットからフローリングに変わるところなど)。
③デイサービスで再現できそうな環境
デイサービスに似たような環境があるようなら、そこで機能訓練を行うと実践的な練習になるでしょう。
誌面(月刊デイ2016年6月号)で紹介したように、小さな段差(杖を寝かせて置いた高さ)を越える、施設内で似たような段差を利用するなどがおすすめです。

改修例
ご自宅内の段差や素材が変わるところには、次のような改修を提案してみましょう。

段差のある所
  ⇓
屋内スロープをつける
床材が変わる所
  ⇓
目立ちやすい色のカラーテープを貼る

段差があってつまずきやすいけれど、賃貸で工事ができなかったり壁がないなど、手すりを付けにくい場所にはこんな福祉用具を利用するとよいでしょう。

「ベストポジションバー」
つなげて使うことができます

 

動作指導・声かけのポイント
家の環境に似た場所で歩行練習をするとより実践的で意欲も出ます。
居宅訪問で確認した環境をデイで再現し、次のように声かけをします。
「山田さんの部屋からトイレまでの環境をつくったので、ここで練習してみましょう!」
また、散らかった部屋も転倒リスク大です。
じゅうたんのめくれや電気コードなど、つまずきやすそうなものは改善していくよう声かけします。
特に、夜中のトイレに寝ぼけまなこで歩いて転倒するというケースもよくあるため、寝る前にベッドからトイレまでの動線を片付けておくと安全です。


リハビリについて
「すり足の方」にオススメの機能訓練メニューについては月刊デイ2016年6月号「現場スタッフに役立つ 症状別・疾患別リハビリ」をご覧ください!





その他の記事

どうして居宅訪問が必要なの?
個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱやリハビリテーションマネージメント加算Ⅰ・Ⅱを算定するためにはご利用者の居宅を訪問し、在宅状況を確認することが義務付けられています。
居宅訪問はとても重要なことです。利用者の生活環境を知り、それに即したメニューを実施することで、機能訓練の効果は格段に上がります。

松本健史(まつもとたけふみ)
理学療法士/介護支援専門員/社会福祉学修士
NPO法人丹後福祉応援団勤務
大阪生まれ・関西大学法学部卒・九州リハビリテーション大学校卒業。
2014年本の出版、研修事業の「松本リハビリ研究所」設立。
著書に「認知症介護『その関わり方間違いです!』」(関西看護出版)「拘縮対応ケアハンドブック」(ナツメ社)「間違いだらけの生活機能訓練改善授業」(日総研)等がある。
介護従事者向けの「生活リハビリの達人」養成研修が話題。
●ホームページ
松本リハビリ研究所
●研修・原稿の依頼・問合せ
matumoto@helen.ocn.ne.jp