\毒蝮三太夫の/  どくまむしさんだゆう
 ちょっと聞いていきなよ!

第二回
若者が介護の仕事を続けられるような国にしていこうよ

 10年以上も女子大の社会学部で介護の授業の客員教授をしているんだけど、昔は100人くらい学生がいたこともあった。今は50人くらいになって、まだ減るのかなと心配になる。その中で介護に携わりたいっていう子はもっと少ない。今の給与じゃ、学生に学んだことをまっとうして介護職に就けとは言えないよ。

 NHK Eテレで介護の番組を担当しているんだけれど、この前、おばあさんが「今まで自分のところにきていたヘルパーの男の子がやめてしまうのよ。困るわ」と言ってた。今の仕事じゃ結婚できないって、だからやめるって言っていたと、嘆いてた。いい子なのにと言ってね。おばあさんは、あんまり料理をしたことがないっていうその男の子に料理を教えてあげて、最後の日にはその子が煮っころがしを作ってくれたんだって。おばあさんは年寄りの良さを伝えたし、その男の子は若者の良さを伝えて、「あぁ、日本は捨てたもんじゃないな」っておばあさんは思ったと思うよ。その子は介護の仕事が好きだったんだ。それなのに、介護職が続けられないなんて悲劇だよ。だから今の大臣や役人とかが、ちょっとした予算を切り詰めて福祉のほうに回せばいいと思うんだ。  
 そして今、大切なのは、高齢者も国や行政に「何かしてくれ」と言うばっかりじゃなく、自分たちが国に何ができるかを考えなきゃいけないと思う。だから、俺の今の役目は介護予防の手本になること!できるだけ介護職の人をあてにしない高齢者を作ることだと思ってるよ。



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著者紹介
毒蝮三太夫(どくまむしさんだゆう)
昭和11年、東京・品川で生まれ、浅草で育つ。23年に舞台『鐘の鳴る丘』で子役としてデビュー。
34年日本大学藝術学部卒業。41年、テレビ『ウルトラマン』、翌年『ウルトラセブン』をはじめ、多くの映画、テレビ番組に出演。
43年、『笑点』出演中に、親友の立川談志の助言で、芸名を本名の石井伊吉から毒蝮三太夫に改名。
44年10月のスタート時からパーソナリティを務めるTBSラジオ『ミュージックプレゼント』は、現在まで50年以上続く長寿番組。
出会ったお年寄りは数十万人。「ジジイ」「ババア」と毒舌を吐きながらも愛のこもったフォローと温かな笑顔で、「ジジイ、ババアのアイドル」として人気を集め、 他にもNHK Eテレ『ハートネットTV』の「介護百人一首」の司会や聖徳大学の客員教授として「介護は明るく、楽しく、かっこよく」と伝え、活躍中。

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