ご利用者の生活環境を把握するための
居宅訪問時のチェックポイント!
居宅訪問の機会を有効に使うために確認すべきポイントを、ご利用者の症状別・疾患別に理学療法士の視点でご紹介しています。

第1回 膝が痛い人
事例
膝の痛みがあるAさん(75歳・女性)
変形性股関節症があり、歩行時の両膝に痛みがあり、機能訓練に消極的。
デイサービスでもじっとしています。
今回は、訪問時に目に入った「玄関の段差」について、機能訓練のために確認しておくべきポイントをお伝えします。

居宅訪問時のチェックポイント
Aさんが機能訓練に消極的なのは、訓練の目的ごとにご自分の生活が結びついていないためかもしれません。
居宅訪問の際にはAさんがどういった場所で不便を感じているかチェックし、それを解消するためにどんな機能訓練をすればその不便さが解消されるかお伝えしましょう。
今回はまず、訪問時に目に入る「玄関の段差」について、機能訓練のために確認しておくべきポイントをお伝えします。

玄関での計測ポイント

階段も玄関の段差も「蹴上(けあげ)」、「踏面(ふみづら)」を測ります。
本人の身体機能を考え、段差の昇り降りを安全に行える環境を整備しましょう。

段差が高すぎる場合には「段割り」といって低い段を設置し、昇り降りしやすくします。筋力や下肢の可動域によって越えられる段差も変わります。膝が曲がりにくいと高い段差は越えられません。
また、「立ち上げ手すり」を中央に設置すると両側を使って登り降りがしやすくなりますが、車イスの通行には不便になります。車イスがいずれ必要になるかどうか?予後予測をしまがら手すりの設置や段差の改修を検討します。

<計測場所>
身体機能を考え、あまり高い段差は改修する。
蹴上(けあげ)23cm以下、踏面(ふみづら)15cm以上が現在の基準ですが、古い住宅ではこの基準に該当していない場合もあります。

改修例
<段割り>
筋力や下肢の可動域によって越えられる段差を調整。
膝が曲がりにくいと高い段差は越えられない。

<立ち上げ手すり>
真ん中に手すりをつけると左右どちらからも昇り降り出来る。
半身に麻痺があっても両側から通行でき便利。
(デメリット:真ん中を塞いでしまうため、車イスは通行しにくい)

居宅訪問での目標へのつなげ方(トーク例)
Aさんが機能訓練に消極的なのは、機能訓練の目的とご自分の生活が結びついていないためかもしれません。
ご利用者に「○○さん、外に出てやってみたいことはなんですか?」
 ・・・こんなふうに質問すると、いろんな答えが返ってきます。
たとえば、「お墓参りに行けなくて気になってる」とか、「また妻と旅行がしたい」など・・・。
その夢を実現するために、越える段差をいろいろ想定すると実践的な機能訓練につながります。
・まずは自由に外出できるように玄関の段差を昇ったり降りたりできるようになりましょう!
・不揃いの石段を越えられるようになって、念願のお墓参りに行きましょう!
・少し高めの段差を練習して、お孫さんとバスで遊びに行きましょう!
・新幹線で奥さんとまた旅行に行くことを目標にしましょう!
 ・・・など、ご利用者との会話から意欲を引き出しましょう!



その他の記事

どうして居宅訪問が必要なの?
個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱやリハビリテーションマネージメント加算Ⅰ・Ⅱを算定するためにはご利用者の居宅を訪問し、在宅状況を確認することが義務付けられています。
居宅訪問はとても重要なことです。利用者の生活環境を知り、それに即したメニューを実施することで、機能訓練の効果は格段に上がります。

松本健史(まつもとたけふみ)
理学療法士/介護支援専門員/社会福祉学修士
NPO法人丹後福祉応援団勤務
大阪生まれ・関西大学法学部卒・九州リハビリテーション大学校卒業。
2014年本の出版、研修事業の「松本リハビリ研究所」設立。
著書に「認知症介護『その関わり方間違いです!』」(関西看護出版)「拘縮対応ケアハンドブック」(ナツメ社)「間違いだらけの生活機能訓練改善授業」(日総研)等がある。
介護従事者向けの「生活リハビリの達人」養成研修が話題。
●ホームページ
松本リハビリ研究所
●研修・原稿の依頼・問合せ
matumoto@helen.ocn.ne.jp