\毒蝮三太夫の/  どくまむしさんだゆう
 ちょっと聞いていきなよ!

第一回
「 チャーミングなジジイにならなきゃな!」

 昔はさ、「俺が決めたんだ、文句を言うな!」って頑固ジジイもいっぱいいたよ。俺の育った下町にもいっぱいいたし、昔は世間もそれを認めてたんだよな。
 でも時代は変わったんだよ。
 これから年寄りはどんどん増えるだろ。25年後には65歳以上が3人に1人になるっていうんだから、財源なんてすぐになくなって介護保険も破綻しちゃうよ。だから、できるだけ介護費を使わない元気な年寄りを増やさないといけないと俺は思ってる。介護をする側だけじゃなくて、世話される年寄り側の意識を変えなきゃならない。
 
 そこで心配になるのはジジイなんだ。ババアは心配しなくても、自分で外に出て気の合う友達とランチに行ったり、温泉に行って美味しいもの食べたり。女同士はいつまででもおしゃべりしてる。
 一方でジジイは、定年退職した後、ろくに外にも出ないでテレビ見てゴロゴロしてることが多い。いつも仏頂面して、昔の自慢話したり「誰のおかげで飯が食えたと思ってんだ」なんて女房にエバってるジジイも多いんだよな。これじゃ女房だって誰だって話す気はしないし、かまってくれない。そういうジジイは、ほっといたらそのままボケて介護が必要になっちゃうかもしれない。 だからね、俺はジジイに「愛されるジジイになれ」「チャーミングなジジイになれよ」っていつも言ってんの。俺もジョージ・クルーニーみたいなチャーミングなジジイになりたいと思ってる(笑)。 
 まずは「笑顔」でいること。
 別に無理して若者ぶる必要はない。自然体で清潔な服を着て、年下の人間にも愛想よくして。今や人生80年時代、いや100年だってあるんだから、ジジイだって楽しく生きていかなきゃいけない。「口下手で何を話したらいいかわからない」なんてあきらめずに少しでも「笑顔」でまわりとうまくやっていかなきゃいけないよ。そういう年寄りなら若者だって寄ってくる。

 「笑顔は世界のパスポート」「笑顔にまさる化粧なし」っていうんだよ。俺の目標はジジイたちを元気にすること。80越えた俺が言うからこそ意味があると思ってるよ。
 元気で長生きすることは立派な社会貢献なんだよ。



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著者紹介
毒蝮三太夫(どくまむしさんだゆう)
昭和11年、東京・品川で生まれ、浅草で育つ。23年に舞台『鐘の鳴る丘』で子役としてデビュー。
34年日本大学藝術学部卒業。41年、テレビ『ウルトラマン』、翌年『ウルトラセブン』をはじめ、多くの映画、テレビ番組に出演。
43年、『笑点』出演中に、親友の立川談志の助言で、芸名を本名の石井伊吉から毒蝮三太夫に改名。
44年10月のスタート時からパーソナリティを務めるTBSラジオ『ミュージックプレゼント』は、現在まで50年以上続く長寿番組。
出会ったお年寄りは数十万人。「ジジイ」「ババア」と毒舌を吐きながらも愛のこもったフォローと温かな笑顔で、「ジジイ、ババアのアイドル」として人気を集め、 他にもNHK Eテレ『ハートネットTV』の「介護百人一首」の司会や聖徳大学の客員教授として「介護は明るく、楽しく、かっこよく」と伝え、活躍中。

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